ファクタリングは、売掛金(請求書)を期日前にファクタリング会社へ売って現金にする方法です。法的には債権の売買で、融資ではありません。ただし会社ごとに手数料・対象・速さが大きく違い、なかには「ファクタリング」の名前で実質的な貸付けをする業者もいます。
このページでは、会社を選ぶときに見る順番と、審査で見られている点を、2026年9月時点の公的な情報をもとに整理しています。個別の会社の条件は会社別ガイドに、公式サイトで確認した日付つきで載せています。
この記事の結論:急ぎなら2社間、売掛先への通知が問題なく手数料を抑えたいなら3社間を候補にし、そのうえで対象・買取額・手数料・契約内容の順に確認します。
先に決めること:2社間か3社間か
ファクタリング会社を比べる前に、自分がどちらの契約を使うかを決めておくと、候補が絞れます。
| 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング | |
|---|---|---|
| 契約の当事者 | 自社とファクタリング会社 | 自社・ファクタリング会社・売掛先 |
| 売掛先への通知 | 原則なし(売掛先への通知・承諾なしで利用する方式) | あり(売掛先の承諾が必要) |
| 入金までの速さ | 早い(最短即日〜数日) | 売掛先の承諾を待つ分だけ遅い |
| 手数料の水準 | 高め | 低め |
| 売掛金の回収 | 売掛先は自社に支払い、自社がファクタリング会社へ送金 | 売掛先がファクタリング会社へ直接支払う |
2社間は売掛先への通知・承諾を原則必要とせず、入金までが早い一方、ファクタリング会社にとって回収リスクが高いため手数料が高くなります。売掛先との関係上、通知しても問題ないなら、3社間のほうが手数料が低く設定される傾向があります。
ファクタリング会社の選び方(見る順番)
1. 自分が対象に入っているか
会社によって「法人のみ」「個人事業主・フリーランスも可」「売掛先が法人であることが条件」「年商や設立年数の条件あり」と分かれます。対象外の会社を比べても意味がないので、最初に対象で絞ります。売掛先が法人であることを条件にする会社があります。
2. 買取額の範囲に自分の請求書が収まるか
下限(例:1万円〜、10万円〜、30万円〜、100万円〜)と上限(例:300万円まで、1億円まで)が会社ごとに違います。少額の請求書なら下限の低い会社、大口なら上限の高い会社に絞ります。
3. 手数料は「幅」と「実額」で見る
公式サイトの「1%〜」「2%〜」は下限です。実際の手数料は売掛先の信用力・金額・支払期日までの日数・2社間か3社間かで決まります。比べるときは、同じ請求書で複数社から見積もりを取り、手取り額で比べてください。手数料以外にかかる費用については手数料の相場と抑え方にまとめています。
4. 入金までの速さが必要な期日に間に合うか
「最短即日」「最短2時間」は、各社所定の条件を満たした場合の最短値です。必要書類や申込時間によって翌日以降になる場合があります。支払期日が決まっているなら、逆算して余裕を持って申し込んでください。
5. 償還請求権がない契約か(ノンリコース)
償還請求権とは、売掛先が支払わなかった場合に、ファクタリング会社が売主(自社)に対して支払いを求めることができる権利です。売掛先の不払いリスクをファクタリング会社が負い、売主に買戻し義務や自己資金による支払義務がない契約であれば、売掛先が期日に支払わなかったことだけを理由に、売主へ支払いを求める仕組みにはなりません。
金融庁は、契約書に「債権譲渡契約」と書かれていても、売主が債権を買い戻すことになっている、売主自身の資金でファクタリング会社に支払わなければならない、といった仕組みは貸金業に該当するおそれがあると注意喚起しています。契約書にノンリコースと書かれているかどうかだけでなく、実態に照らして判断されるとされています。
ただし、この点を公式サイトに書いているかどうかは会社によって差があります。当サイトで会社別ページを作成した会社のうち、自社で買い取りを行っている11社では、売掛先が倒産しても買い戻しを求めない旨を公式サイトに明記しているのが6社、一部のページにだけ記載があるのが2社、記載がないのが3社でした(2026年9月23日時点)。記載がない会社や一部のページにしかない会社では、契約書で買戻し義務や自己資金による支払義務がないか確認してください。
6. 債権譲渡登記の扱い
2社間では、ファクタリング会社が第三者に対抗するために債権譲渡登記を求めることがあります。登記できるのは譲渡人が法人の場合です。登記の有無と概要が分かる概要記録事項証明書は誰でも請求できますが、個々の債権の詳細を記載した登記事項証明書は、当事者・債務者・その他の利害関係人などに請求できる人が限られています(法務省)。なお、登記は債務者以外の第三者に対する対抗要件で、登記しただけで売掛先へ自動的に通知されるわけではありません。登記によって売掛先に対して譲渡を主張できるようにするには、登記事項証明書を交付して通知するか、売掛先の承諾を得る必要があります。「登記なしでも可」「原則必要」「必須」と会社で違うので、売掛先に知られたくない場合はここを確認します。登記の費用(登録免許税)は債権の個数が5,000個以下なら1件7,500円で、誰が負担するかは会社によります。
7. 会社の実体が確認できるか
金融庁は「ファクタリング全般を規制する法律はありません」「二者間ファクタリング、三者間ファクタリングを行う上で貸金業の登録は必要ありません」と案内しています(実質的な貸付けに当たる場合は貸金業に該当します)。そのため、貸金業者の登録番号のように「ファクタリング事業者であること」を公的な登録番号で確認することはできません。代わりに次を見ます。
- 運営会社名・所在地が公式サイトに書かれていて、国税庁の法人番号公表サイトと照合できる(同サイトで確認できるのは商号・所在地・法人番号の3つです)
- 公式サイト・契約書・広告で運営主体が一致している
- 問い合わせ窓口と受付時間が書かれている
- 手数料以外の費用、契約の流れ、必要書類が公式サイトに書かれている
- 「審査なし」「100%通る」「即日で誰でも」といった表現だけで条件が書かれていないサイトは避ける
審査で確認されることがある点
審査基準は会社ごとに異なり、詳しい基準を公開していない会社もあります。当サイトで確認した各社の公式案内では、売掛先との取引実績、入金履歴、支払期日、請求書・契約書など、売掛債権が実在し、期日に回収できるかを確認するための資料を求める例があります。
審査時に確認されることがある項目
- 売掛先との継続取引や過去の入金履歴(通帳の写しで確認する会社が多い)
- 支払期日までの期間
- 請求書・契約書・発注書など、債権の存在を示す資料
- 希望する買取額と取引規模(年商や月商の条件を設けている会社もある)
会社によって取扱対象外になる例
- 売掛先が個人・個人事業主の債権(法人が取引先であることを条件にする会社がある)
- 支払期日を過ぎた債権、回収不能な債権
- すでに他社に譲渡した債権
必要書類は会社によって違います。自社で買い取りを行っている11社のうち、必要書類を具体的に書いているのは10社でした(サービスページ・FAQ・利用規約・申込ページを見た範囲。SOKULAだけは「エビデンス資料は必要最低限」とあるのみで、書類名がありません)。その10社の内訳は次のとおりです。
- 請求書など、債権の存在を示す資料:10社すべて
- 入金履歴が分かる通帳・入出金明細:8社(うち7社が期間を指定。3か月分が5社、3〜6か月分が1社、オンライン型の専用ページで7か月分としている会社が1社)
- 本人確認書類:9社
このほか、審査の段階で決算書や登記簿謄本(法人)、開業届・確定申告書(個人事業主)を求められることがあります。各社の必要書類は会社別ページの条件表に、公式サイトの確認日とあわせて載せています(2026年9月23日時点)。
申し込む前に準備しておくこと
審査の基準は会社ごとに違うので、「これを揃えれば通る」というものはありません。ただし、上に挙げた必要書類は各社の公式サイトで確認できたものなので、先に手元に揃えておけば、やり取りの往復は減ります。
- 売る予定の請求書(成因資料):10社すべてが求めています。会社によっては契約書・発注書・納品書でも可とされています
- 入出金が分かる資料:通帳の写しや入出金明細です。8社が求めていて、そのうち7社は期間を指定しています。多いのは直近3か月分です。オンライン型では「保有する全銀行口座の明細」と指定する会社もあります
- 本人確認書類:9社が求めています。運転免許証やパスポートなどです
- 売掛先との取引が続いていることが分かるもの:入金履歴、基本契約書、取引先とのメールなど。会社によって指定が違います
- 決算書・確定申告書など:必須としていない会社でも、金額や審査の内容によって追加で求められることがあります。法人は登記簿謄本、個人事業主は開業届や確定申告書が挙げられています
申し込みフォームに入力する内容と、提出する書類の中身は一致させてください。利用規約に、申込内容が事実と違った場合や表明した内容が真実でなかった場合の取り扱い(買戻しや額面相当額の支払い、利用停止など)を定めている会社があります。
避けるべき業者の見分け方
金融庁は「ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者」の存在を確認しているとして、次の点に注意するよう呼びかけています。
- 受け取る買取代金が、債権額に比べて著しく低い
- 売掛先から回収できなかったときに、売主が債権を買い戻す、または自己資金で支払うことになっている
- ノンリコースと書かれていても、実態として売主が不払いのリスクを負っている
裁判例でも、ファクタリング会社が売掛先の不払いリスクをほとんど負っていない取引や、買戻しを前提にした取引は、貸付けと判断されたり公序良俗違反で無効とされたりしています(金融庁の注意喚起ページに東京高裁令和3年7月1日判決、札幌高裁令和4年7月7日判決などが紹介されています)。
個人の給与(賃金債権)を対象にした「給与ファクタリング」は、金融庁が貸金業に該当すると明示しています。事業用の売掛債権とは別のものなので、利用しないでください。
申し込む前のチェックリスト
- 自分(法人/個人事業主)と売掛先(法人か)が対象に入っている
- 請求書の金額が買取額の範囲に入っている
- 同じ請求書で2〜3社から見積もりを取り、手取り額で比べた
- 手数料以外の費用(振込手数料・登記費用・印紙代など)の有無を書面で確認した
- 契約書に買戻し義務・自己資金での支払義務がない
- 債権譲渡登記の有無と費用負担を確認した
- 運営会社の商号・所在地を法人番号公表サイトと照合した
このページの根拠
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(貸金業該当のおそれがある仕組み、給与ファクタリング、参考判例)、金融庁「金融サービス利用者相談室」(ファクタリング全般を規制する法律はないこと、二者間・三者間では貸金業の登録が不要であること)
- 法務省「(債権譲渡登記等)添付書面・登録免許税」(債権個数5,000個以下:1件7,500円)、「証明書交付請求の手続」(証明書の種類と請求できる人)
- 各社の対象・条件は、当サイトの会社別ページで公式サイト確認日とともに掲載
- 各項目の社数は、自社で買い取りを行っている11社(一括査定の2社を除く)の公式サイトを、トップページとよくある質問のページで確認した範囲です
- 確認日:2026年9月23日。制度や注意喚起の内容が変わった場合は更新します