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ファクタリングの基礎知識

ファクタリングのメリット・デメリット|使ってよい状況と避けるべき状況【2026年版】

ファクタリングは、売掛金を期日前に売って現金にする方法です。融資と違って借入にはなりませんが、手数料がかかり、使い方によっては資金繰りを悪化させます。このページでは、メリットとデメリットを並べたうえで、「どういう状況なら使ってよいか」「使わないほうがよいのはどんなときか」を整理します。

ファクタリングの仕組み(30秒で)

  1. 自社が取引先(売掛先)に商品・サービスを納め、請求書を発行する
  2. 支払期日を待たずに、その請求書(売掛債権)をファクタリング会社に売る
  3. ファクタリング会社が、額面から手数料を引いた買取代金を振り込む
  4. 期日に売掛先が支払う。2社間なら自社が受け取ってファクタリング会社へ送金、3社間なら売掛先がファクタリング会社へ直接支払う

法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。金融庁もそう説明したうえで、実態が貸付けと同じ仕組みのものは貸金業に該当するおそれがあると注意喚起しています。

メリット

借入にならない

売掛債権の売買として処理されるファクタリングは借入ではないため、借入金として負債が増えるものではありません。ただし、利用した事実が将来の融資審査に一切影響しないとまではいえません。金融機関は決算内容や資金繰りなどを総合的に見て融資を判断します。決算書上は売掛金が減って手数料分の損失が出るので、財務が良くなるわけでもありません。

入金が早い

会社によっては最短即日〜数日で入金されます。たとえば日本政策金融公庫の国民生活事業では、借入申込から融資が決まるまでの平均所要日数を「2〜3週間程度(土日、祝日を含む)」と案内しています。こうした融資では必要な支払日に間に合わない場合に、ファクタリングが選択肢になることがあります。

審査で見られるものが融資と違う

審査基準は会社ごとに違います。当サイトで会社別ページを作成した会社のうち、自社で買い取りを行っている11社の公式サイトを確認したところ、次のようになっていました(2026年9月23日時点)。

  • 赤字決算でも利用できると明記:8社
  • 税金の滞納があっても利用・相談できると明記:6社
  • 審査で売掛先の信用力を見ると説明:4社

申込者自身の財務内容より、売掛先が期日に支払うかどうかを見るという説明をしている会社があり、その点が融資との違いとして案内されています。ただし、すべての会社が同じ基準というわけではなく、赤字や滞納があれば必ず使えるというものでもありません。

担保・保証人を求めない会社がある

上記11社のうち、担保・保証人が不要と公式サイトに明記しているのは3社でした(2026年9月23日時点)。残る8社は不要とも必要とも書いていません。「担保・保証人は不要」はファクタリングの一般的な説明としてよく見かけますが、今回確認した買取11社のうち、自社の利用条件として明記していたのは3社でした。残る8社は、必要とも不要とも確認できませんでした。担保や保証人の要否は契約前に確認してください。

なお金融庁は、貸金業登録を受けていない者がファクタリングを装って貸付け(債権担保貸付け)を行っている事案が確認されている、としています。売掛債権の売買であるはずの契約で担保や保証人を求められた場合は、その契約が売買なのか貸付けなのかを含めて、契約書の内容を確認してください。

売掛先の倒産リスクを移せる(ノンリコースの場合)

償還請求権なしの契約では、売掛先の倒産など信用リスクによって回収できなくなったことだけを理由に、売主へ支払いを求める仕組みにはなりません。上記11社のうち、売掛先が倒産しても買い戻しを求めない旨を公式サイトに明記しているのは6社、一部のページにだけ記載があるのが2社、記載がないのが3社でした(2026年9月23日時点)。記載がない会社では、契約書で買戻し義務や自己資金による支払義務がないか確認してください。

デメリット

手数料が高い

手数料は取引ごとに額面から差し引かれます。たとえば額面100万円を手数料10%で売ると、手数料は10万円です。支払期日まで30日なら、30日早く受け取るために10万円を負担することになります。ファクタリングは融資ではないため、この率を貸付金利の年率と同じものとして比較することはできませんが、短期間の資金調達でも負担する金額は小さくありません。詳しくは手数料の相場の見方を見てください。

売掛金の額面以上は調達できない

手元にある請求書の金額が上限です。まとまった設備資金など、売掛金の範囲を超える資金には使えません。

売掛先に知られる可能性がある

3社間は売掛先への通知・承諾が前提です。2社間でも債権譲渡登記を行った場合、登記の有無は概要記録事項証明書で第三者が確認できます。また、自社の送金が遅れれば売掛先に連絡が行く契約もあります。取引先との関係に影響する可能性は残ります。

売掛先の信用力次第で断られる

売掛先が法人であることを条件にする会社があり、売掛先が個人・個人事業主の債権は対象外になることがあります。売掛先の支払い遅延歴があると通りにくくなります。

繰り返し使うと資金繰りが悪化する

毎月の売掛金を前倒しで現金化し続けると、毎月手数料分だけ手元資金が減っていきます。金融庁も「高額な手数料を支払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性がある」としています。

偽装ファクタリング(実質的な貸付け)が混ざっている

金融庁は、ファクタリングを装って貸金業登録なしに貸付けを行う業者の存在を確認しているとしています。契約書に「債権譲渡契約」と書かれていても、売掛先から回収できなかったときに売主が買い戻す・自己資金で支払う仕組みなら、貸金業に該当するおそれがあります。裁判例でも、買戻しを前提にした取引や、ファクタリング会社が不払いリスクをほとんど負っていない取引は、貸付けと判断されたり公序良俗違反で無効とされたりしています。

融資との関係

信用情報に登録されるのか

貸金業者が指定信用情報機関へ登録する義務があるのは、貸付けに係る契約についてです。貸金業法第41条の35第2項は「加入貸金業者は、資金需要者である個人の顧客を相手方とする貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、当該貸付けに係る契約に係る個人信用情報を……指定信用情報機関に提供しなければならない」と定めていて、同法第2条第14項も「個人信用情報」を「個人を相手方とする貸付けに係る契約……に係る事項」と定義しています。

売掛債権の売買は貸付けではないので、この規定の対象にはなりません。また、この規定が対象にしているのは個人を相手方とする契約です。ただし、金融庁が注意喚起しているとおり、ファクタリングを装った実質的な貸付けであれば貸金業に該当します。契約の実態がどちらなのかは、手数料の水準や買戻しの有無で判断されます。

銀行融資への影響

「融資に不利にならない」とは言い切れません。信用情報機関に登録されるかどうかと、金融機関が審査でどう見るかは別の話です。金融機関の審査方針は公表されていないので、当サイトでは影響の有無を断定しません。

確かなのは決算書の上での見え方だけです。売掛金が減って現金が増え、手数料の分だけ損失が出ます。借入金は増えませんが、財務内容が良くなるわけでもありません。売掛金の回転が不自然に早い、手数料の負担が続いているといった点は、決算書や試算表から読み取れます。

融資と併用できるのか

ファクタリングは債権の売買なので、融資を受けていることが理由で使えなくなるという決まりはありません。ただし、申し込む前に確認しておく点が2つあります。

  • その売掛金を担保に入れていないか。売掛債権担保融資(ABL)などで金融機関に譲渡担保として差し入れている売掛金は、重ねて売ることはできません
  • ファクタリング会社側の扱い。他社を利用中の人を対象にした「乗り換え」のキャンペーンを出している会社もあります(当サイトで確認した範囲では、BIZパートナーとファクタープランが乗り換え向けの案内ページを公開しています)。一方で、他社利用中は受け付けないとする会社もあり得ます。公式サイトに書かれていない場合は、申込時に確認してください

向いている状況・向かない状況

向いている 向かない
支払期日が迫っていて、銀行融資の審査を待てない一時的な資金需要 毎月恒常的に資金が不足している(手数料で悪化する)
売掛先が法人で、支払いが安定している 売掛先が個人、または支払い遅延がある
赤字や税金滞納で融資を受けにくいが、売掛金はある 売掛金の額面を超える資金が必要
大口の受注で、納品までの運転資金をつなぎたい 取引先に資金繰りを知られると取引に影響する(2社間でも完全には防げない)

使う前に確認すること

  • 資金が必要な時期に間に合うなら、日本政策金融公庫、信用保証協会付き融資、自治体の制度融資なども比較する。ファクタリングと融資では費用の仕組みが違うため、必要な金額・資金化までの日数・最終的な負担額を並べて判断する
  • 手数料の金額(率ではなく実額)と、それによって早められる日数を並べて、それでも使う価値がある支払いかを考える
  • 契約書に買戻し義務・自己資金での支払義務がないことを確認する(あれば実質的な貸付けの可能性)
  • 同じ請求書で2〜3社から見積もりを取り、手取り額で比べる
  • 2社間の場合、自社が受け取った売掛金をファクタリング会社へ送金する期限と、遅れた場合の扱いを確認する
  • 給与ファクタリング(個人の賃金債権を対象にしたもの)は貸金業に該当すると金融庁が明示しているので使わない

このページの根拠

  • 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(法的性質、貸金業該当のおそれ、高額手数料への注意、給与ファクタリング、参考判例)
  • 日本政策金融公庫「よくある質問(国民生活事業)」(融資が決まるまでの平均所要日数2〜3週間程度)
  • 各社の条件は、当サイトの会社別ページで確認した公式サイトの記載(2026年9月23日時点)
  • 手数料の内訳は手数料の相場の見方、会社の選び方と審査は会社の選び方7つに整理
  • 各項目の社数は、自社で買い取りを行っている11社(一括査定の2社を除く)の公式サイトを、トップページとよくある質問のページで確認した範囲です
  • 確認日:2026年9月23日
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掲載情報について

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