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ファクタリングの基礎知識

税金・社会保険料を滞納していてもファクタリングは使える?先に知っておく猶予制度と15社の扱い【2026年版】

税金や社会保険料の支払いが遅れていると、銀行への相談や資金繰りに悩むことがあります。売掛金を早く現金にできるファクタリングが選択肢に入ってくることもあるでしょう。当サイトで会社別ページを作っている買取会社15社の公式サイトを確認すると、税金の滞納があっても利用できると明記している会社は5社、条件付きで利用できるとしている会社が5社ありました(明記の5社のうち、社会保険料の滞納も含めて利用できると書いているのは1社です)。

ただ、その前に知っておいてほしいことが2つあります。督促を受けても納付しないでいると、売掛金そのものが差し押さえられることがあります。そして、税金にも厚生年金保険料などの社会保険料にも、納付を猶予してもらったり、分割で納めたりする公的な仕組みがあります。このページでは、先に相談先と猶予の制度を、そのあとで15社の公式サイトの書き方を整理します。確認日は2026年10月19〜23日で、項目ごとの日付は末尾の根拠に書いています。

まず相談先と、猶予の仕組み

国税庁は、猶予制度のよくある質問で、相談先を次のように案内しています。

滞納しているもの 相談先
国税(法人税・源泉所得税・申告所得税・消費税など) 所轄の税務署(徴収担当)
地方税(住民税・固定資産税・自動車税など) 都道府県や市区町村の担当窓口
厚生年金保険料など 日本年金機構(管轄の年金事務所)
労働保険料 都道府県労働局

国税の猶予

国税庁によると、国税の猶予制度は、期限内の納付が難しい場合に、申請して税務署長の許可を受けることで、原則として1年以内の期間に限り、分割して納付できる制度です。猶予には、主に次の2つがあり、それぞれ受けるための条件があります(国税庁の猶予制度のよくある質問による)。

  • 換価の猶予:一時に納付すると事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがあり、納税について誠実な意思があることが条件です。納期限から6か月以内に申請する必要があり、猶予を受けようとする国税以外に滞納がないことも条件になります
  • 納税の猶予:災害や盗難に遭った、本人や生計を同じにする家族が病気にかかった、事業をやむを得ず休廃業した、事業の利益の減少などで著しい損失を受けた、といったケースに当たり、そのために一時に納付できないことが条件です

このほか、次の点も案内されています。

  • 猶予は申請に基づくもので、自動的には受けられません
  • ほかに滞納(猶予中のものを除く)している国税があると、換価の猶予は認められないことがあります。納税の猶予は、ほかに滞納している国税があっても受けることができます。すでに滞納がある場合は、まず所轄の税務署(徴収担当)に相談するよう案内されています
  • すでに滞納がある場合や滞納から6か月を超えている場合でも、税務署長の職権による換価の猶予を受けられる場合があります
  • 担保は原則として必要ですが、猶予を受ける金額が100万円以下の場合、猶予期間が3か月以内の場合、提供できる担保がない場合は不要です
  • 黒字であっても、要件を満たせば猶予を受けられます
  • 延滞税は納期限の翌日から発生するので、申請はできるだけ早く行うよう勧めています

猶予の申請の手引では、換価の猶予を受けると、すでに差し押さえられている財産の売却が猶予され、事業の継続を難しくするおそれがある財産は差押えが猶予(または解除)される場合がある、と説明されています。

社会保険料(厚生年金保険料)の猶予

日本年金機構によると、厚生年金保険料などにも換価の猶予と納付の猶予があります。換価の猶予は、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがあり、保険料の納付について誠実な意思があると認められる場合に、納期限から6カ月以内に申請することで受けられ、保険料を分割で納付できます。猶予期間は1年の範囲内で、期間内に完納できないやむを得ない理由があると認められた場合は、年金事務所に申請して延長できます(当初の期間とあわせて最長2年間まで)。

猶予が認められた後でも、分割納付の計画どおりに納めない場合や、猶予を受けている保険料以外に新たに保険料を滞納した場合などには、猶予を取り消される場合があります。年金機構は、早めに管轄の年金事務所へ相談するよう案内しています。なお、ここで取り上げたのは日本年金機構が扱う厚生年金保険料などの制度で、国民健康保険料(税)や国民年金保険料の扱いは、このページでは確かめていません。

地方税の猶予

住民税などの地方税にも、地方税法に徴収猶予や換価の猶予の定めがあります。申請による換価の猶予の申請期限は、地方税法で、それぞれの自治体の条例で定める期間とされています。手続きの細かい点は自治体ごとに違うので、住んでいる都道府県・市区町村の窓口で確かめてください。

たとえば三重県の県税では、換価の猶予の申請期限を納期限から6か月以内とし、災害や病気などを理由とする徴収猶予には申請の期限はないとしています。また、猶予を受ける金額が50万円以下なら担保は不要としていて、国税の基準(100万円以下)とは金額が違います。

督促を受けても納付しないと、売掛金が差し押さえられることがある

国税庁は、国税の納期限を過ぎて納付も相談もない場合に、滞納処分の手続きに進むと説明しています。流れは、督促、財産の調査、財産の差押え、取立てや公売、という順です。リーフレットでは、督促状が送付されてもなお納付されない場合には差押えなどの手続きを行うとしたうえで、差押えは、納付の相談がない場合や、やむを得ない事情なく納付の約束が守られない場合など、納付の意思が認められないような場合に行うとしています。相談して猶予や分割納付が認められれば流れが変わりうる一方、相談していても、やむを得ない事情なく納付の約束を守らなければ差押えに進みうるということです。

  • 財産の調査は取引先にも及びます。国税庁は金融機関や取引先などに対して財産の調査を行うとしています。日本年金機構も、必要に応じて取引先企業全般に対し売掛金などの債権の有無を調べるとしています
  • 差し押さえる財産には売掛金が含まれます。国税庁のリーフレットは、差押えの対象として「債権(売掛金・預金等)」を挙げています
  • 売掛金を差し押さえるときは、売掛先に通知書が届きます。国税徴収法第62条は、債権の差押えは第三債務者(売掛先)への債権差押通知書の送達によって行い、滞納者には債権の取立てその他の処分を禁じなければならないと定めています。差し押さえられた売掛金について、滞納者は取立てなどの処分を禁じられ、徴収職員が取り立てることができます(同法第67条)
  • 厚生年金保険料についても、厚生年金保険法第86条は、督促を受けた人が指定の期限までに納付しないときは、国税の滞納処分の例によって処分できると定めています。日本年金機構も、督促指定期限までに保険料が納付されない場合には、財産の差押えなどを行うことがあると案内しています

また、国税庁は、完納するまでは納税証明書(その3)による「未納の税額がないことの証明」を受けられないと案内しています。

ファクタリングは、どこに位置づくか

金融庁は、ファクタリングを法的には債権の売買(債権譲渡)契約だと説明しています。当サイトで確認した15社のうち11社は、審査で売掛先の信用力や取引の実態を見ると書いています(2026年10月19〜21日確認)。

ファクタリングで得た資金を、滞納分の納付や分割納付に充てることは選択肢の1つです。ただ、国税庁も日本年金機構も、納付が難しいときは早めに相談するよう案内しています。猶予が認められれば分割で納められ、差押えが猶予される場合もあります。そのうえで、なお資金が足りない部分をどうするかを考える、という順番で検討してください。手数料の分だけ受け取る金額は減るので、ファクタリングを使う場合も、口座に入る金額で考えてください。手数料の見方は手数料の相場の見方にまとめています。

売掛金を売ったあとに、同じ売掛金が差し押さえられたら

ファクタリングで売った売掛金と、国税の滞納処分による差押えがぶつかった場合について、国税庁の「国税徴収法基本通達」(第62条関係)は、原則として、それぞれが対抗要件を備えた時期の先後で判定すると説明しています。ただし、日時が同じ場合や先後が分からない場合などには、別の扱いがあります。

  • 確定日付のある譲渡通知書が売掛先に届いた日時(または確定日付のある売掛先の承諾の日時)と、債権差押通知書が売掛先に届いた日時の、どちらが先かで判定する(33項)
  • これらの日時が同じか、先後が分からないために優劣を判定できないときは、譲り受けた会社と差し押さえた側のそれぞれが、売掛先に全額の支払いを求めることができるとしています。売掛先は、譲り受けた会社への弁済などで債務が消えていない限り、支払いを免れないとされています。また、先後が分からないために売掛先が供託した場合で、差し押さえた額と譲り受けた額の合計が供託金の額を超えるときは、それぞれの額に応じて供託金を分けるとしています(33項)
  • 債権譲渡登記をしている場合は、登記がされた時と、債権差押通知書が売掛先に届いた時の、どちらが先かで判定する(40項)。債権譲渡登記は、法人が債権を譲渡した場合の制度です(11項の注)
  • 確定日付のある通知・承諾という要件を欠いて譲渡された債権は、譲渡した人(売主)の債権として差し押さえることができる(11項)
  • 債権譲渡登記をしていても、譲渡契約が無効であれば差し押さえることができる(39項)

売掛先に知らせずに進める2社間のファクタリングで、確定日付のある通知も承諾も債権譲渡登記もない場合は、11項の「要件を欠いている場合」に当たりうることになります。法人の場合も、債権譲渡登記をするかどうかは会社によって扱いが違います。この通達は国税についての国税庁の説明で、社会保険料や地方税で同じ扱いになるかは、このページでは確かめていません。実際にどちらが優先するかは、契約の内容や差押えの状況によって判断が必要です。滞納があり、売掛金が差し押さえられるおそれがある場合は、ファクタリングの契約を結ぶ前に、税務署や法律の専門家に相談してください。

15社の公式サイトでの書き方

分母は、当サイトに会社別ページがある買取会社15社です。申込者自身の税金・社会保険料の滞納について、各社がどう書いているかを分けました(2026年10月22日時点)。各社のコラムや体験談は根拠にしていません。

滞納についての記載 社数 会社
税金の滞納があっても利用できると明記 5 ファクタリングのトライ、ファクタープラン、SOKULA、ビートレーディング、トップ・マネジメント
条件付きで利用できると記載 5 アクセルファクター、BIZパートナー、GoodPlus、JTC、株式会社No.1
利用できるかどうかの記載を確認できない 5 QuQuMo(アクティブサポート)、ラボル、資金調達QUICK、AGビジネスサポート、PayTech

「明記」は、公式サイトのどこか1か所に利用できると書いているという意味で、審査の結果を約束するものではありません。同じ会社の別のページでは「利用できる可能性があります」という書き方をしている例もあります(ビートレーディングのよくある質問など)。明記の5社のうち、社会保険料の滞納まで含めて利用できると書いているのはファクタープランだけで、ほかの4社は税金の滞納について書いています。「確認できない」の5社も、滞納だと使えないと書いているわけではありません。

条件付きの5社の条件

条件の内容は会社ごとに違います。

  • アクセルファクター:審査の流れを説明する自社のページで、税金の滞納があっても原則利用できるとしたうえで、差し押さえの蓋然性がある場合は、断るか時期をずらしてもらうことがあるとしています
  • BIZパートナー:よくある質問で、税金・社会保険の滞納があっても原則可能だが、滞納の金額や期間によっては断る場合もあると回答しています
  • GoodPlus:税金や社会保険料の滞納があっても利用できるとしつつ、社会保険料については「分納中であれば可能」と回答しています
  • JTC:大阪のページで、原則問題ないとしたうえで、滞納金額や支払い状況による、としています
  • 株式会社No.1:乗り換えページや支社の商品ページでは「優先債権が無ければご利用できます」、よくある質問では「税金滞納の状況によります」と回答しています。また、サービス紹介ページの中のファクタリング全般についての説明で、税務署や自治体などに分納計画を提出しておくことが前提、としています

社会保険料の滞納に触れているのは15社のうち8社です。残る7社のうち、SOKULA・ビートレーディング・トップ・マネジメントの3社は税金の滞納について書き、ラボルで見つかったのは利用規約の「租税公課」の滞納についての条項で、QuQuMo・資金調達QUICK・PayTechの3社は、取得したページでは滞納についての記載が見つかりませんでした。社会保険料を滞納している場合は、税金と同じ扱いかどうかを申込時に確認してください。

利用規約で確かめたいこと

利用規約を確認できた会社のうち3社は、差押えや滞納処分をサービスの利用停止などの事由にしています。

  • ラボル:利用停止・退会の事由に、重要な財産について差押えや滞納処分を受けた場合のほか、「租税公課を滞納し督促を受け、又は保全差押を受けたとき」を挙げています。退会となった場合は、利用者の会社に対する債務は期限の利益を失い、直ちに全部を一括で支払う定めがあります。また、売る債権の支払が遅れたり拒まれたりした場合、約束した事項が正しくないと分かった場合やそのおそれがある場合、規約などへの違反やそのおそれがある場合のほか、会社が管理・回収に必要と判断した場合には、会社が利用者に代わって売掛先に債権譲渡を通知できるとしています(第17条第10項)
  • AGビジネスサポート:重要な財産について差押え、仮差押えまたは滞納処分を受けた場合を、利用停止・退会の事由にしています。退会となった場合は債務を直ちに支払う定めがあります。また、公租公課の滞納処分を受けたときは、会社が譲渡契約を解除できるとしています(第19条)。売掛先への通知は、会社が債権保全上必要と判断した場合にはいつでも、利用者を代理して行えるとしています(第8条第2項)
  • GoodPlus:重要な財産について差押え、仮差押えまたは滞納処分を受けた場合を、利用停止の事由にしています(第10条)。利用停止となった場合は債務を直ちに支払う定めがあります。また、利用停止になった場合や、会社が管理・回収に必要と判断した場合などには、会社が利用者に代わって売掛先に債権譲渡を通知できるとしています(第5条)。複数の債権を売っている場合は、どれか1つでこうした事由が起きると、売ったすべての債権の売掛先に通知できる定めもあります

とくにラボルは、差押えより前の督促の段階から事由にしています。また、3社とも、一定の場合には会社が売掛先に債権譲渡を通知できる定めを置いています。滞納がある場合は、規約のどの条項が自分に当てはまりうるかを、契約前に確認してください。

ここでいう直ちに支払う対象は、条文上「利用者の当社に対する債務」(ラボルは「利用者の当社に対する一切の債務」)で、その債務について期限の利益を失うことを定めたものです。この条項だけで、売掛先の通常の不払いについて利用者が負担するかどうかは判断できません。その責任の範囲は、償還請求権や買戻し、表明保証違反などに関する条項とあわせて確認する必要があります。

実際に、3社とも、売る債権が滞納処分の対象になっていないことなどを利用者が約束する条項を置き、それが正しくなかった場合の定めも置いています。GoodPlusは額面金額相当額を直ちに支払う(第7条)、ラボルは会社が請求した場合に額面金額で買い戻す(第19条)、AGビジネスサポートは表明保証の違反があったときに譲渡契約を解除できる(第19条)、という定めです。なお、AGビジネスサポートは、この約束は債権の発生時と契約の締結日の時点についてのもので、その後に回収の障害が生じないことまで保証させるものではないとしています(第7条第3項)。売りたい売掛金がすでに差し押さえられている場合や、そのおそれがある場合は、こうした条項との関係を契約前に確認してください。各社の扱いは会社別のページでも確認してください。

申込のときに聞かれること、用意するもの

  • 滞納の有無と金額。アクセルファクターは申込時の確認項目に税金や保険料の滞納の有無を挙げ、AGビジネスサポートの簡易診断フォームには滞納金額を選ぶ欄があります
  • 納税証明書。BIZパートナーは、面談・契約時の書類として、分納・未納の場合は納税証明書(その1)を挙げています。国税庁によると、その1は納付すべき税額や未納税額などの証明です
  • 猶予や分納の状況が分かるもの。GoodPlusやJTCのように、分納中か、支払い状況はどうかを聞く会社があります。税務署や年金事務所と分納の約束をしている場合は、その内容を説明できるようにしておいてください

赤字決算の場合に審査で確かめられることは、赤字決算でもファクタリングは利用できる?で整理しています。

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